三方を山に、一方を海に囲まれた天然の良港だった香川県三豊市仁尾町。戦国時代にはすでに城下町として栄え、江戸時代には参勤交代や千石船が出入りする町として、また塩田業でさらなる発展を遂げました。町の通りを散策すれば、江戸から昭和にかけての面影を残すレトロな雰囲気を感じ取ることができます。日本の夕日百選にも選ばれる美しい海岸・父母ヶ浜もあり、その幻想的な光景を見に訪れる人が増えています。
レトロ&ノスタルジックな雰囲気に包まれる町
城下町として、また港町として栄えた仁尾町には、江戸から昭和の繁栄を残した古い町並みがあります。260余年以上の歴史を持つ米酢醸造所や、町の発展に尽力した塩田忠左衛門の邸宅で明治時代の面影を今に伝える「松賀屋」などレトロな建物が建ち、そこに息づく人々の暮らしの様子を感じることもできます。主要なスポットは徒歩でめぐることができるため、ノスタルジックな雰囲気を感じながら散歩するのがおすすめです。
迫力ある2つの大きな注連石が特徴の神社
1084年、京都・上賀茂神社の分霊を祀ったのがはじまりとされています。拝殿前に鎮座する2つの大きな自然石は注連石(しめいし)と呼ばれ、隣町である詫間町にあったものを仁尾町まで運んできたものと言われています。1391年の神宮寺創建以来、細川家の参向を丁重に歓待した慣行が「長床神事」として今に伝わり、県の無形民俗文化財に指定。現在でも秋祭りと一緒に行われています。仁尾の町や文化と密接に関わる神社です。
土地の魅力を伝える仁尾の店
昔ながらの面影が残る仁尾の町には、長く地域の人々に愛され続けている店があります。おばあちゃんが作る揚げパンがおいしいパン屋や中華そばが名物のレトロ食堂、たこ判の発祥店と呼ばれる一軒など、素朴ながら食べればなぜかほっとするような仁尾の味がそれぞれの店にそろっています。かき氷専門店やハンバーガー店、海景色を眺めながら過ごせるカフェやレストランなど、仁尾ならではの自然や恵みを堪能できる店も増えています。
水面が写しだす幻想的な光景
仁尾町が世界に誇る砂浜、父母ヶ浜。南北に1㎞ほど続く長い砂浜には、1日2回の干潮時に潮だまりができて、鏡のように天空を水面に映し出します。その様子は「瀬戸内の天空の鏡」「日本のウユニ塩湖」と呼ばれ、日本の夕日百選にも選出。美しい光景を求めて、年々多くの人々が訪れています。仁尾の海上では、空と海がひと続きになったような絶景が楽しめるSUP体験なども行われており、マリンアクティビティも人気です。